書くことは娯楽

内省持ち。何時も何か考えてます。会話でなく対話が好き、何時も誰かと対話していたい。内省と対話の結果、自分の中で出来た何かを言語化して残します。プロサラリーマン、プロ営業。バイクとビール好き。

おぼろげ でやせ我慢

コピーライターの梅本洋一氏から「思いついたアイデアは頭の中の黒板に書いておいて、なるべく文字に落とさない。文字にして紙に書いてしまうとそれは固定されて自由な発想に制限をかけてしまう」と教えられたと、歌人の木下龍也が書いていた。

 

頭の中に浮かんだ、感情や考えや印象は、どこか もやっ としている。大体こんな感じというのはあるけど、枠が無く、どこか「おぼろげ」な感じで頭の中に留まる。そしてそんなおぼろげなものが頭の中で鎮座していると、新しい何かを生むスペースが無くなりそうで怖い。なのでおぼろげなそれを早く枠にハメてしまいたい、固めてしまいたくて外に書き出す。早く頭の中から追い出そうと、直ぐに書き殴る。

書くと狙い通り、おぼろげものが文字でしっかり固定される。枠にハマり、カチッと決まってしまう。それで安心して、次の何か新しいおぼろげなものが出てくるの待つ。

ただ、とっとと紙に書き、枠にハメ、形として決めてしまうのは、ちょっと早いのかなと思う時もあり、それはそれでちょっと悶々としてもいた。

 

早く書いて決めてしまう、早く頭の中のスペースを空けることは、悪手では無いと思うけど、もう少し我慢したら、そのおぼろげに浮かんだ、感情や考えや印象が、もっと大きな何かになるのかもしれない。頭の中で寝かせるという事をたまに聞くけど、寝かせると忘れてしまいそうで怖くもなる。そうじゃなく、寝かし、ほったらかすのではなく、考え留める、頭の中のスペースを与え続ける。

書き出さず頭の中に留めるからこそ、もっと大きな何かになるのかもしれない。直ぐに書き出すより、もっと面白く、賢明で、大きな方向に進むかもしれない。早くに枠に捉え、形を定義づけると、思いのほか小さく、そして常識でありがちなものになってしまうのかもしれない。

 

おぼろげなものを早く枠決めしたい。浮かんだ感情や考えや考えを早く固めてしまいたい。その誘惑と戦うのは結構大変だと思う。その誘惑に勝って、我慢して粘っても、最初のインパクト以上によくなることは無いかもしれない。

でも、もうちょっとやせ我慢してみよう。ちょっと怖いけど。