書くことは娯楽

内省持ち。何時も何か考えてます。会話でなく対話が好き、何時も誰かと対話していたい。内省と対話の結果、自分の中で出来た何かを言語化して残します。プロサラリーマン、プロ営業。バイクとビール好き。

考えとかストーリーとかを買いたい

仕事で使っている革の鞄が壊れてしまった。ショルダーストラップを止めている、2つある、鞄側の付け根の部分(根革というらしい)の片方1つが破れてしまって、あと少しで完全に切れてしまう。一応ブランド品なので、正規店に持って行けば修理してくれるけど、国内の正規店では、修理業者に外注で出すという噂を聞いていたので、自分で修理業者を探した。使い始めて10年以上経つけど、なんだかんだ気に入り、大事にもしている鞄なので、どこに出すか慎重に修理業者を調べた。結果、東京にある2社に絞られ、鞄の画像を添付し、修理見積もりを依頼した。

 

どちらも丁寧な返事と共に、概算の見積もりを送ってくれた。両者の見積もりには、倍の差があった。5千円、1万円の違いじゃなくて倍。だからといって、安い方の業者の修理の質が低いとも思えない。流石に倍は無いなと、内心安い方の業者に決めながらも、なんでそこまでの差なんだろうと、もう一度しっかり、見積もりを添付してあったメールを読んでみた。

下の方に「根革に関して、当社では左右交換させて頂きます」と書いてある。左右?ショルダーストラップを止めるんだから、左右両方に根革はあるけど、破れているのは片方だけ。もう片方は何ともない。見積もり依頼時に付けた画像でも、片方だけで問題無いことがわかる筈。何で?と最初は思った。

 

革なので、年月と使い込みで色合いは変わっていく。革の味ともいえるけど、色褪せが進んでいく。その色褪せた革に出来るだけ似た革を選び、交換してくれるんだろうけど、全く同じ色の革はあり得ない。根革は左右2つあるので、片方だけだと、どうしてもそちらだけが目立つ。だから交換するなら両方ということらしいと気が付いた。

それを書いてくれたらとも思ったけど、「鞄が壊れて、買い替えるんじゃなくて、修理を依頼してくるぐらい、大事な鞄なんでしょ?じゃあ安かったら良いというもんじゃないですよね?ウチは修理後も出来るだけ気持ちよく、良いコンディションで使って欲しいんです、うちにお願いするお客さんはそんな事言わなくてもわかりますよね?」という、意味さえあるのかもとも思った。

 

客によって、直ればいいという人も多いだろうし、そんな人達からしたら、左右変えられるなんてぼったくりと同じ。でも片方では、そこで余分にお金が掛かっても、今後より良い状態で使えることを望む客もいる。

今回、俺は後者だった。他の物だったら、前者の方がありがたかったかもしれないし、後者をぼったくられてると怒ったかもしれない。でも、仕事で使っている革鞄に関してはそう思った。何の説明が無くとも、左右交換の見積もりを出してきた業者を、より自分に合う、よりお金を払ってでもお願いしたい業者だと思った。

 

何かを買う時って、商品、サービスそのものは勿論だけど、業者やお店の考えとか、ストーリーとかそういうものを重視したい。場合によっては多少高くても良いし、もっと言うと、依頼した物の質、そのものが少し落ちたとしても、そういう考えとか、持っているストーリーを大事にしたい。質もだけど、そっちを買いたい。

 

ここまで書いて初めて気が付いた。

意外と俺は、ブランド品が好きなのかもしれない。