書くことは娯楽

内省持ち。何時も何か考えてます。会話でなく対話が好き、何時も誰かと対話していたい。内省と対話の結果、自分の中で出来た何かを言語化して残します。プロサラリーマン、プロ営業。バイクとビール好き。

どうやったら売れるのか

どうやったら上手く売れるようになりますか?って、同僚の部下が、コソっと相談してきた。別に新人じゃないし、他所の会社で優秀な成績を上げた結果、ウチに転職してきた位なので、基本的なスキルはある。平時なら会議の後にでも、食事しながら軽く話し込めるんだけど、今はそんな状況でも無いし、追い詰められた状態になって、どうしようもなくなって、藁をもすがる思いで聞いてくる。

 

こういうの難しくて、こうしたら売れるという鉄板の答えなんて無い。セールスの教科書に載るような、進め方とか話法なんか無い。生保や証券のカリスマセールス辺りが、「こうすれば売れる!」的な本を出してるけど、あれはその人だからという事と、その時たまたま運が良かったから。あれを間に受けたらダメ。読み物として面白いから読むのはいいけど、ああいう奴の形だけ真似をしようと思ってもダメ。

 

よく「お客様のニーズを考える」って言われるし、それは正しくもあるけど、あまりわかりやすい回答でもない。ニーズを考え、プロのこちらが最適と思った提案が、お客様の答えではない時がある。自分が買った物、受けたサービス、全部が全部、なぜそれにお金を払ったか、明確に合理的に説明できるか? 多分できない。そんなもんです。理屈で答えが見出せない時がある。理屈じゃない事で決まる事が往々にしてある。

 

勿論、ニーズを探る行動は大事。でも全ての顧客に対して、そんな器用なことが何時でも出来るわけでも無い。顧客だって、対話や行動で、全ての自分の内を見せようとしてくれる人ばかりでもないし、その内を上手く言語化できない人も多い。

 

じゃあ、どうするかって、やっぱり答えなんてないんだけど、強いて言うなら雰囲気で売るんです。何となく雰囲気で提案して、雰囲気で売っていく。雰囲気が大事、商品知識よりも大事。 

 

その雰囲気を出すために、自分のキャラをちゃんと俯瞰して眺めて、分析して、どういうキャラを創り、それで推していくか、相手に合わせて、ちゃんと考え、演じる事が大切。

 

例えばあなたのルックスはどうなんですかと。別にイケメンだろうがそうでなかろうが、痩せてようが太っていようが、ブランド物のスーツであろうがなかろうが関係無く、大事なのは、自分がどう見えてるか意識してますかという事。そして自分を見たお客様が、どうこちらを捉えてるか、常に推し量ろうとしてますかという事。

 

お客様によっては、イケメンでブランド物で固めてる奴を見て、出来る凄い奴だっぽいし、こいつの言う事聞いてみようかって思う人もいれば、いけ好かない、可愛くない奴だと思う人もいる。見栄えだけじゃなく、話し方も立ち回りもそう。熱心なのをプラスで捉えてくれる人もいれば、黙って何も言わない奴の事を、落ち着いた、いい感じの人と捉えるかもしれない。

全部お客様によって違う。それをわかっているかいないか。その上で、お客様に合う自分を把握し、再現できるかどうか。それが出来れば、後は演じるだけ。商品知識に抜けがないセールスを求める人もいれば、多少情けない奴を求める人もいる。色々お客様によって違う、その求めるものを、自分にインプットして、それを演じるだけ。

 

新人のセールスって、大して経験も無いのに結構売ってくる。商品知識もないし、ビジネスパーソンとしての常識もまだまだだし、交渉スキルなんてほぼ無し。最近の新卒新人さんは優秀だけど、それでも知れてる。でも意外にも売ってくる。それって、初々しく、トチりながらも頑張るしかないんだけど、お客様側もなんとなく「新人」にそう言うスタイルを求めやすい。若いんだから、そんなもんってイメージがある。新人は別にわかってそれに沿うよう演じてるわけじゃないけど、結果として相手の望むイメージに重なってるだけ。新人で、その道の玄人レベルの知識や高級ブランドスーツで固めた奴は、多分そう売れないと思う。そんな奴見た事無いからわからないけど、賭けてもいい。逆に、中堅やベテランに対しては、お客様は当然色んな事をイメージして期待もする。それこそ見た目から何からと、その人に合わせた期待をする。

 

誰かの具体的なアクションやトーク内容を聞いて参考にする前に、やるべき事がある。ベースの自分は変えようがないんだから、そのベースをちゃんと知った上で、目の前のお客さんに一番ハマる自分を演出する。その努力をしてますかという事。

 

それを「お客様のニーズを考える」というのなら、そうなのかもしれないし、俗にいうスーパーセールスという方々は、その点で女優・俳優並みの合わせ方が出来る人達なのかもしれない。